次世代リーダー育成についてのヒントと参考情報
こんにちは。
寺子屋カレッジ塾長の吉田です。
今回のコラムは「次世代のリーダー育成」についての話題です。
みなさんの会社では次世代のリーダー育成、どうされていますか?
次世代のリーダーを育成することは大事だと思いながら、
「人材育成の研修」というと実務に直結するスキルアップや
コミュニケーションなど日ごろから必要なスキルの方が
優先されがちではないでしょうか。
今日はこれまで私が企業から依頼を受けて実施してきた
「リーダー育成の方法」についてご紹介します。
次世代リーダーの予備軍となる人材に、
経営に関しての知識や実践を積んでもらいながら、
将来の課題となる新規事業のタネも探してしまおうという方法です。
ところでリーダーに求められることとは何でしょうか?
リーダーシップ
ビジョンを示す力
マネジメント力
責任感
信頼を得る人間力
判断する力
実行する力
・・・・
いろいろな力が考えられると思いますが、
実践を通して身につけられるのが一番近道かもしれません。
新規事業提案プロジェクトとは?
ある企業ではちょうど創業●●年という節目で
この次、会社としてどういう方向性で進むかを考える目的で
「新規事業提案プロジェクト」を行いました。
NBC(New Business Creation)プロジェクト(PJ)という名前をつけて実施。
期間は半年くらい。
PJメンバーは異部署横断の3-4人が1つのグループになりました。
次世代リーダー候補として指名された若手です。
具体的には、以下のように進めます。
0.方針と目的の共有
まずは、中期経営方針をPJメンバーに浸透させ、
このPJの目的をしっかりと共有します。
その企業では、目的を踏まえた上で「稼ぐ力」となる
新規事業を提案することになりました。
座学を学び、学んだことを使いながら事業立案を行います。
1. 環境分析と市場機会、事業課題の洗い出し
PEST分析や3C分析、SWOT分析などの手法を
用いながら環境分析を行います。
外部環境や競合調査だけではなく、
自社の経営理念や資源(人やモノ、カネ、情報、ブランド、、、)を
しっかりと理解することも次世代のリーダー候補にとってとても大切なことです。
その中で自社の強みや世の中に求められていることなどを抑え、
自社の市場機会や事業課題などを洗い出します。
2. 戦略立案と事業プランのブラッシュアップ
アンゾフの成長戦略マトリクスなどを使って
新規事業の戦略を練ります。
具体的な事業候補が出てきたら、
社内外の人とディスカッションし
実行可能性を精査したり、
戦略を練ったり、
調査データを調べたり、
プランをブラッシュアップします。
3. 収益性と成長性などの評価
再度分析手法を用いて客観的に評価し、損益分岐点などをもとに
収益性や成長性についても検証します。
4. 提案発表と事業化判断 ~ 成否のポイント ~
最後には新規事業提案として社長や役員も同席して、
自グループの発表の場を設けます。
最終的に予算がついてGOとなるかどうかは
社長判断となることが多いですが、
新規事業提案としての成否のポイントは
提案するメンバー自身が
「自分のお金を投資してでもやりたい」
と思える提案になっているかどうか、です。
プロジェクトを進める上で大事なこと、実施するメリットとは?
『自分たちの将来は自分たちで設計する』
このような考え方を若手が身につけることが重要です。
このPJには今のリーダーではなく、次世代のリーダーが携わることで
「自分たちの未来は自分たちで作る」ことが大事だと考えています。
社内でのネットワークづくりや
他部署の考え方・視点を理解するいい機会にもなります。
さらに、社外での人脈を作ったり、
世の中の動向に目を向けたり
広い視野をもつきっかけになることも期待できます。
PJを進める上で大事なことは、以下の4点です。
1.PJメンバーの上司がこのPJも業務の一つと認め、
時間を確保できるようにすること
2.調査費用など予算はつけておくこと
3.適切な助言者、相談者を社内でも社外からでもいいので確保して
PJの提案をブラッシュアップできるようにすること
4.また、新規事業提案がもしもGOとなった場合には、
発案者自身が責任者になって実行できることも事業成功のカギと言えます。
何といっても事業を軌道に乗せるには“情熱”が必要だからです。
そして、このようなPJを実施して感じるメリットとしては以下のようなことが挙げられます。
メリット
・社内のコミュニケーションが活性化する
・目の前の業務や課題だけでなく、一段上の視点から仕事を考えることができる
・経営に関する「ヒト・モノ・カネ・情報・・・」について学び
実践するのでより事業や経営への理解が深まる
・社会に対しての自社の価値や役割・立ち位置や事業のしくみを
理解することで日々の仕事へのモチベーションがあがる
・今の幹部だけではなく、若手の力を活用することで
これまでにない新しいアイディアが生まれる可能性が期待される
これまで行ったPJに参加したメンバーからは
「経営を体験できてよかった。現場で何が重要なのか、
他部署と自分の業務との関連性がわかった。」
「参加当初は自分の仕事じゃなく、経営は経営者の仕事だろうと
思っていたが、将来のことをみんなと考えることができ、
経営が楽しいということが分かった。
他部署のメンバーとも共通事項として話すことができた。」
「経営目線を持つことで、みんな同じ視点に立てた。」
「社内コミュニケーションの土台となった。」
・・・・ などの感想が寄せられています!
このような新規事業立ち上げのプロジェクトには
他にも社員のモチベーションアップのために、
手を挙げた人たちでPJチームを作って行う方法なども
実施することがあります。
新規事業提案として、ヒト・モノ・カネ・情報について学び、
自分の手や足、頭を使って事業を考える経験をします。
この経験を通して、広い視野で物事を考え、
経営者の視点をもてる人材がたくさん育つことにつながると感じています。
日々の業務が忙しいとなかなか時間を確保するのは難しいと思いますが、
このような視点を持つことができると日々の仕事への課題意識や
モチベーションも変わってくるのではないでしょうか。