【Monthly Greetings】
2015-05-01
●2015年5月のひとこと
今年も一年の3分の1が過ぎ、暦の上では夏の始まりと言われる、“立夏”とともに5月を迎えました。まさに“風薫る”という枕詞がふさわしい五月晴れを楽しめる月ではないでしょうか。
今月号のお便りはゴールデンウィークの影響もあり、お届けするのが遅くなってしまいましたが、みなさんは充実した連休をとられましたでしょうか?かつての勤務先企業の上司が連休における旅行の取り方の心構えについての自説を披露されていたことを思い出しました。
それは旅行の前後に1日ずつ自宅でのんびり過ごす時間をもつことが極めて大切だというアドバイスです。たとえば、3日間の旅行であれば、その前後に1日ずつ自宅休暇を入れ、合計5連休にするということです。その理由は、日常生活から“非日常”生活に移行して、そのあとまた日常生活に戻る際、気持ちの切り替え時間をもたないと、折角の楽しい旅行もリフレッシュどころか、逆効果になりかねないというもので、今もって納得できる説ではないかと思っております。
さて話は変わりますが、先月22日、経団連会館で行われた日本経済調査会(略称:日経調)主催の講演会に出席してきましたので、そのご報告をさせていただきます。
演題は「社会を変えるモノづくり、輝くMade in Japan」というもので、お二人の講師が招かれており、どちらも上場を果たされたベンチャー企業創業者です。
ひとりは微細藻のユーグレナ(和名:“ミドリムシ”)の食用屋外大量培養に成功し、世界の食糧難やエネルギー不足などを救おうと、株式会社ユーグレナを起業された代表取締役社長の出雲充さんです。
このユーグレナは健康食品として最近、スープやスナック菓子などでもしばしば見かけるようになっています。(参照:http://www.euglena.jp/)そしてもう一人は、学生時代に強靭かつ柔軟なクモ糸の人工合成に向けて研究着手し、その後、ベンチャーキャピタルから資金40億円を調達し起業、小島プレス工業との共同開発などを進めるなど、世界初の人工クモ糸の工業化を目指している、スパイバー株式会社の代表執行役、関山和秀さんです。(参照:http://www.spiber.jp/)
このお二人は、私のお気に入りテレビ番組である「夢の扉プラス」(TBS系)でも何年か前に取り上げられていましたので、私は気になるベンチャーとして興味をもってみておりました。今回の講演で、お二人に共通している起業動機は“金儲け”ではなく、「世のため、人のため」という高次元の理想あるいは志に根差したものだとお聞きし、あらためてその高邁な起業家精神に敬意を表したくまたファンになりました。
またこのような人たちが日本から生まれてきていることに、少なからず誇りをもつことができ、私自身、元気と勇気をいただきました。
前者の出雲さんのお話で特に印象に残ったことは、起業時に多くの日本の大企業を訪問し、事業化への情熱や社会的意義のほか、商業化への確かな手ごたえを語っても、資金面での支援にまったく好意的でなかったという、苦い経験談です。実際、出雲さんの場合、何と500社を訪問したそうで、そのすべてから断られたとのこと。そして、501社目となる某大手商社が初めて投資を決定すると、今度は手の平を返したように、どこも好意的な態度に変わったというエピソードです。日本の典型的な横並び主義と言ってしまえばそれまでですが、これは銀行などの貸し付け担当者にもよく見受けられる話です。担当者が自分の目で事業可能性を評価・判断し、また責任をとれるような仕組み(制度)になっておらず、会社という組織は権限委譲し社内人材を養成していくシステム(体制)も整えられていない、“守り”中心の風土ということなのでしょう。
起業家側の態度として気になったのは、最後に出雲さんがある業界企業のA社は資金面で援助してくれたので、この業界についてはA社以外の製品やサービスを利用する気がない、という排他的な姿勢を述べられたことです。
余程、悔しい思いをさせられたのだなということが私にも十分伝わってきましたので、お気持ちは分かりますが、できれば「冗談です」と言ってもらいたかったですね。自分のほうの立場が弱いときと強いときでは、相手の対応が変わるのは世の常である以上、大きな世界観とそれなりの寛容な心ももって、事業を進めていってもらいたいものと感じました。
併せて、大企業サイドの人にも言いたいことがあります。それは大きなリスクをとって、大いなる夢にチャレンジしようとしているベンチャー創業者の起業家精神をもっとリスペクトし、資金面ならずとも精神面で支援していく姿勢も大切ではないかということです。まさにこれこそが社会イノベーションの原動力にもなり、CSR(企業の社会的責任)のひとつとして評価されるのではないでしょうか。
●事業活動のご連絡
先月号のこのコーナーでもアナウンスしましたが、来月からいよいよ社会人のための学び直し経営塾を開校いたします。
日本に江戸時代からあった庶民のための学び舎と、欧米で20世紀初頭に始められた合理的なMBAプログラムや大学経営学部を融合した、新しいタイプの教育機関として、「寺子屋カレッジ」と命名しました。
言わば、「感性」重視のアナログ教育と「理性」重視のデジタル(システム)教育のハイブリッド型コンパクト講義を目指しております。
私は本年3月まで、淑徳大学の経営学部と大学院にて5年間教鞭をとってきましたが、その間、何人かの社会人の方が私の授業の聴講に来られました。「かつて大学で経営学を学びましたが、あまり真剣に受けていませんでした。しかし今なら授業の意味が理解でき、仕事にも役立てそうなので、是非学び直したい」といった理由でした。
よく「実務(実践)」と「理論」の関係性についていろいろな意見が聞かれますが、私は次のように考えています。
スポーツ理論に精通したスポーツ選手は、名プレイヤーになることが多いように、ビジネス分野でも経営理論の基礎をキチンと学んだビジネスパーソンはハイ・パフォーマーあるいはプロの経営者として、個人の活躍に活かせるだけでなく、組織の発展にも寄与できるものが大きいと信じています。
上記「今月のひとこと」でも取り上げた起業家精神と同様、私も残りの人生を日本の経営力底上げに少しでも貢献できればと考え、この「寺子屋カレッジ」を設立することにいたしました。
具体的には、来月からスタートし、毎月3日間(いずれも水曜日)の授業で、大学の1学期(セメスター)で教えている1科目分の必要不可欠な基礎知識と最新応用知識を学んでいただくものです。
詳細については、近日、別途メールにてお知らせいたします。
なお、6月開校の前に、下記の通り、説明会を行いますので、ご興味ある方は、事前申し込み(メールまたは電話)の上、ご参加いただけましたら幸いです。
<「寺子屋カレッジ」説明会>[無料]
◆ 日時:5月20日(水)10:00~11:30
◆ 場所:渋谷区 文化総合センター大和田 学習室1(2階)
※渋谷駅から徒歩5分
(所在地:渋谷区桜丘町23-21)
URL: https://www.shibu-cul.jp/access
今月号は長くなってしまいましたが、これまで“経営”の分野で学ばせていただいたことについて社会に恩返ししたいという気持ちとともに、64歳からのベンチャースピリットにご支援ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
以上、2015年5月のMonthly Greetingsでした。
弊社ビット89では、皆さまの社外「経営企画室」として、
ビジネスに直結した
●「量り売り方式のリサーチ」
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を行っております。
出前スタイルのセミナー研修も喜んでお受けいたしますので、
どうぞいつでもお気軽に声をかけてみてください。
学び直しの経営塾「寺子屋カレッジ」塾長 吉田健司